日本一は楽天に決まり!?

日本一は楽天に決まり!?


「第三の男の法則」に注目せよ。

田端到 = 文
text by Itaru Tabata
photograph by NIKKAN SPORTS
http://number.bunshun.jp/npb/column/view/4214/

2009年のレギュラーシーズンもすべて終了。クライマックスシリーズから日本シリーズへと向かう戦いを残すのみとなった。

 短期決戦を勝ち抜くのに、必要なものは何か。日本一の行方を占う、面白いデータを紹介しよう。名付けて「第三の男の法則」だ。

 まずはチームの中で勝利数トップ3の投手を並べる。例えば今年の巨人なら、ゴンザレス15勝、グライシンガー13勝、高橋尚10勝。この場合、勝利数3位の高橋尚が「第三の男」に該当し、この勝ち星の数がきわめて重要となる。

日本シリーズで勝つためには"投"の三本柱が必要。

 日本シリーズは、大エースひとりの力では勝てない。二本柱がいても、まだ足りない。3番手の投手こそがカギを握り、その勝ち星の多いほうのチームが日本一の栄冠を手にする確率が高いのだ。

 なつかしい記憶を掘り起こしながら、90年代を振り返ってみよう。

 '94年、セ・リーグ優勝は巨人。トップ3投手は、桑田14勝、斎藤14勝、槙原12勝。同年、パ・リーグ優勝は西武。郭13勝、工藤11勝、新谷10勝。第三の男の勝ち星は巨人が上回り、日本シリーズも巨人が4勝2敗で制した。

 '96年、セ優勝は巨人。斎藤16勝、ガルベス16勝、木田7勝。同年、パ優勝はオリックス。星野13勝、フレーザー10勝、野田と小林宏8勝。巨人には二本柱がいたが、第三の男はオリックスが上回り、日本シリーズもオリックスが4勝1敗で制した。

驚異の的中率を誇る「第三の男の法則」だが......。

 このようにして見ていくと、'91年から'00年までの10年間で、第三の男の勝ち星が上回ったチームは、日本シリーズで8勝0敗、なんと勝率100パーセント! あとの2回は第三の男の勝ち星が同数だった。

 日本シリーズの時期になると多くの解説者が勝敗の予測をするが、難しく考える必要はない。チーム内で勝利数3位の投手の勝ち星を比べるだけで、あら不思議、日本一のチームは簡単に予測できるのである。

 ただしこれは、3番手の投手が現実に日本シリーズで活躍したかどうかの話ではない。3番手の投手の勝利数が、そのチームの投手力の厚みを象徴していて、それがシリーズの結果につながっているということだろう。

 しかし、この法則には欠陥もある。第三の男の勝ち星がセとパで同数の年は、使えないのだ。

 '01年以降はなぜか同数のケースが頻出。昨年までの8年間で同数が5回。第三の男の勝ち星が上回ったチームは3例しかなく、日本シリーズでは2勝1敗だった。

 '06年のセ優勝は中日。川上17勝、朝倉13勝、山本昌11勝。同年、パ優勝は日本ハム。ダルビッシュ12勝、八木12勝、金村9勝。

 第三の男が上回ったのは中日だったが、シリーズは日本ハムの4勝1敗。'91年以降の18年間で、これが唯一、法則に該当しなかった例外の年である。


今年のクライマックスシリーズの6チームを比較すると?

 さてそこで今年。クライマックスシリーズに進出する6チームの、勝利数トップ3投手を一覧表にしてみた。

● '09年CS進出チームの勝利数トップ3投手
 投手 勝利 
巨人ゴンザレス15
グライシンガー13
高橋尚10
中日吉見16
川井11
朝倉10
ヤクルト館山16
石川13
松岡6
 投手 勝利 
日本ハムダルビッシュ15
武田勝10
八木9
楽天田中15
岩隈13
永井13
ソフトバンク杉内15
ホールトン11
大隣8

 目をひくのは楽天だ。田中15勝、岩隈13勝、永井13勝。第三の男の13勝は、6球団の中で頭ひとつ抜けて多い。昨年まで岩隈と田中の二本柱のチームだったのが、今年はここに永井が加わり、投手陣の厚みがぐっと増した。

 もし楽天がクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズへ進出するようなら、そのまま日本一まで突き進む確率が高いことを、過去のデータは示している。

 セ・リーグは、巨人・高橋尚10勝、中日・朝倉10勝、ヤクルト・松岡6勝が、第三の男たち。ヤクルトは苦しいが、巨人と中日は互角だ。

巨人、中日相手だとパ・リーグで勝てるのは楽天だけ?

 この法則は日本シリーズ用のもので、もっと短期決戦のクライマックスシリーズには単純に当てはめられないとしても、なんらかの参考にはなるだろう。第1ステージは2勝すれば先に進めるが、すぐに第2ステージが控えており、いずれにしろ投手陣の層の厚さは問われる。

 セ・リーグを勝ち抜くのが巨人か中日だった場合、第三の男が9勝の日本ハムは微妙に劣勢だ。8勝のソフトバンクも苦しい。

 もちろんこれはデータ遊びの意味合いもあり、日本ハムは'06年に法則を覆したチームである。ソフトバンクもここに来て、今季不振だった和田が復調し、 短期決戦を戦う態勢を整えてきた。こんな単純な比較で、本当に結果がわかってしまうなどとは思っていないし、野球がそんな単純なものであって欲しくもな い。

 クライマックスシリーズを勝ち抜くのは、果たしてどこなのか。次回は、日本シリーズの法則・打者編をお送りする予定だ。


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